あたしをア・イ・シ・テ



割り箸を取って割ってから、唯翔に差し出す。


「…唯翔」


唯翔はスマホを見てて、割り箸に気づかない。


「あ、ごめん」

「最近唯翔、スマホばっか見てるよね~、なんかゲームでもハマったの?」


自分の分の割り箸を割りながら、そう聞くと微かに唯翔の顔がひきつったのがわかった。


「…そーか?父ちゃんが最近うるせーから連絡してるだけ」


「ふーん…」


ついでに言うと、トイレにもスマホを持っていくようになったよね。

前までテーブルに堂々と置いてたのにさ。


なにか見られたくないものでもあるのかな?


「お父さんとそんなに連絡取り合うのかい」

あたしが笑いながら言うと、唯翔がムッとした表情になった。


「いいだろ、なんでも。芽衣には関係ない」

「はいはい」


相手がお父さんなら関係ないことはないと思うけど。


唯翔が怒りそうだしこれ以上はやめとこ。


そう思って、あたしはズズッと味噌ラーメンをすすった。


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