あたしをア・イ・シ・テ
なんだかんだと揉めながら、あたしは部屋の扉を開けた。
そしてあたしは机のイスに、唯翔はベッドに座った。
これがあたしの部屋に来たときの唯翔の定位置。
「そーいや、この間の数学のプリント持ってるか?一ヵ所わかんなかったんだよな」
「へ?あぁ、あれか…」
あたしは鞄を引っ張って、ガサゴソと漁った。
唯翔の、汚ねぇ、という言葉は無視して。
「あ」
そして、この前下駄箱に入っていた白い封筒がぐしゃぐしゃになったのを見つけた。
「あ、忘れてた!」
「お前…ラブレターだったらどうすんの?」
引き続き呆れ顔の唯翔にべーっと舌を出して、あたしは手紙を取り出した。
ラブレターだとしてもOKなんてしないんだからいいもんね!
一応、中身を確認してみるか。
『芽衣先輩へ
私は唯翔先輩が好きなので
諦めません
奈々加より』
ギリッと無意識の内に歯軋りしていた。
見た目で大人しそうだと思っていたけど、やっぱりあたしの唯翔に手を出すだけのことはある。
あの性格は猫をかぶっている。
相当な根性だ。
嘘のミーティングと言い、中身は清純の欠片もないのかも。