あたしをア・イ・シ・テ
Ⅲ-Ⅰ side:侑矢
「おはよー、侑矢」
「はよ!」
教室に入るなり声を掛けてきたのは、幼馴染みの相沢 奈々加。
俺が昔から好きな太陽のような笑顔で挨拶され、今日もテンションが上がる。
奈々加は可愛いしモテるし、俺なんかじゃダメだと思うけど、いつか絶対に俺の彼女にする!
…と決めてる、俺が、うん。
奈々加の斜め右後ろの自席に重いスポーツバッグを下ろし、どかっと腰を下ろす。
あぁそうだ、昨日担任に提出し忘れたプリントが机の中に…
と、手を突っ込むと、
「?」
俺は思わず、机の中を思いきり覗きこんでしまった。
「奈々加見てやばくね!机ん中超キレイ!」
「あ、ホントだ。侑矢にしては珍しいね。っていうか、何にもないじゃん!」
昨日までぐっちゃぐちゃになっていた俺の机の中は空っぽになっていたのだ。
なに?誰か掃除してくれたのか?
そんなわけないか。
あれ、空っぽじゃねぇや。
奥に小さい紙切れが見えて、それを取り出して開いてみた。
「…は?」
「侑矢なにそれ?」
俺は持っていた紙切れを咄嗟に背中側に隠した。
「なんでもねぇよ!」
紙切れには、こう書いてあった。
『君の好きな奈々加チャンは人の彼氏を取る最低女だよ』