あたしをア・イ・シ・テ
「私のとこにもあった!」
「俺のとこも!」
教室のあちこちからそんな声が聞こえてくる。
お前らやめろ!と俺が言おうとしたとき、ガタンっと派手な音を立てて、奈々加が立ち上がった。
「わ、わたしはそんなことしてない!」
そのままドアを開けて廊下に飛び出していってしまった。
「あ、おい奈々加!…お前らやめろよ!そんな紙切れ信じんなよ!奈々加はそんなことするやつじゃねぇよ!」
俺がそう言い切るも、クラス中から俺に注がれる視線は疑いの目ばかりだった。
「…ちっ」
俺は舌打ちをして、奈々加を探すために教室を出た。
奈々加の親友のはずの谷口が冷めた目で俺を見ていたことなど知らずに。