あたしをア・イ・シ・テ
Ⅲ-Ⅱ
「南川、明日退院するんだって?」
「そうそう、やっと休み時間が暇じゃなくなる」
あたしの前の席の椅子に逆向きに座った唯翔がムッとした顔になる。
「はー?俺が毎回話しに来てんじゃねーか」
「そうだっけ?」
笑いながらそう言うと、ばしっと頭を叩かれた。
ちなみに今は昼休みで、唯翔と教室でお弁当を食べている。
明日、有莉沙は退院して、明後日から登校してくるらしい。
傷はちょっと残っちゃうみたいだけど、無事でなによりだよね、ほんと。
「芽衣ちゃーん!お客さーん!」
「お客さん?」
教室の後ろのドア辺りからそんな声が聞こえてそっちを見ると、まどかが立っているのが見えた。
「谷口じゃん。あ、芽衣知り合いなんだったっけ?」
「うん、ちょっと行ってくるね」
あたしは長い話になるだろうと思い、お弁当を持っていくことにした。
お弁当を持っていくことに、唯翔は不思議な顔をしていたけどあたしは何も言わなかった。
「まどか、どしたの?」
まどかは珍しく真面目な表情をしている。
「芽衣先輩、私が話すことわかってますよね、きっと?」
まどかは自分のお弁当箱をあたしに見せてそう言った。
あたしはにこり、として「さぁ?」と言った。