あたしをア・イ・シ・テ
あたしとまどかは屋上へと移動した。
この前と同じところに座り込むと、まどかはお弁当箱の蓋も開けずに喋りだした。
「今朝、私のクラス中の机に手紙を入れたの、芽衣先輩ですか?」
「あー…」
否定も肯定もせずに笑うと、まどかはごくりと喉を鳴らし、言った。
「奈々加は唯翔先輩と浮気してるんですよね?」
"してるんですよね?"って、もうわかってるも同然みたいだね。
「よくわかったね」
「クラスの男子が言っていたY先輩、って言うのでなぜかすぐにピンと来たんです。あ、唯翔先輩だと思って」
「まどかはこのことどう思う?」
「私は…」
まどかは俯き、ぱっと顔を上げた。
「私は、奈々加がしていることが信じられないです。私は芽衣先輩カップルが大好きなので。…芽衣先輩のしたいこと、賛成しますよ?」
顔を上げたまどかの瞳は冷めており、口元はいつものまどかから考えられないほど意地悪になっていた。
「だから私は今、芽衣先輩の所に来たんじゃないですか。今、私のクラスすごいですよ、奈々加のことで。奈々加のことみんな避けてるみたいです」
あたしはその光景を想像して、笑いたくなった。
今朝、苦労して準備したかいがあった。
「あたし、仕返しするつもりなの」
「わかってます。私も奈々加のしてることは間違っていると思うので」
あたしは笑いながら、浮気されたから復讐するというのも正しいことではないけどね、と思っていた。