あたしをア・イ・シ・テ
女の影
「おはよ~有莉沙~」
「おそよう、でしょ芽衣の場合」
次の朝登校すると、中学から一緒の有莉沙こと、南川 有莉沙(ミナガワアリサ)が苦笑しながら言った。
有莉沙は優しくて可愛い女の子。
丸っとしたボブが良く似合っている。
こんな容姿だしモテるけど、彼氏は作らない、もったいないなぁとあたしは思う。
「どしたの?こんなギリギリに」
「いやー、ただの寝坊」
あと5分もすれば朝の読書タイムが始まる、そんな時間に登校してきた。
「ふぁぁ…」
あくびをしながら席につく。
寝坊したのにはわけがある。
昨日はラーメンのあと、唯翔の家に泊まりに行って、夜更かししたから。
そこら辺あたしの家はユルいし、唯翔はほぼ独り暮らし(父親がいるけどいつも家には帰ってこない)してるし、大丈夫なんだけど。
いつも唯翔が目覚ましを掛けといてくれるのに、今日に限って掛けてくれなかった。
本人はサッカー部の朝練であたしより早く出ていっちゃったし。
まったくもー、遅刻するところだったじゃん、唯翔のバカ。
って、あれ?
唯翔来てないじゃん、もうチャイム鳴るのに。