あたしをア・イ・シ・テ
それから紙が投げられることはなくて、授業が終わったあと、唯翔に話しかけられた。
「アイスってお前、もう秋だし」
「あれー?クレープだったかも」
アイス屋さんもクレープ屋さんも教えてもらってないんだから行けないし、
適当にはぐらかそうと笑うと、唯翔が急に真面目な顔になった。
「なに?なんか隠してんの?」
「え?なにも?」
隠してるのは唯翔じゃん。
自分のこと棚にあげて、あたしを疑うつもり?
少しだけ怒りを覚えたけど、あたしはそれを外に出さないようにした。
「トイレ行ってくるね」
あたしは立ち上がってトイレに向かった。
廊下にはもうすぐ授業が始まるのに、わりと多くの人がいた。
その間をすり抜けながら、早く有莉沙が学校に来ないかなぁと思った。
トイレの個室に入って便器の蓋をして座り、スマホを取り出した。
「あ」
思った通り、まどかからLINEが入っていた。
奈々加のことで、何か言ってくるんじゃないかと思ってたから。
『みんな、奈々加に浮気は本当?とか、相手の先輩は誰なの、とか聞いてます』
『でも何人かはもう、軽蔑してるみたいな態度ですね』
奈々加がクラスで省かれるのも時間の問題かなぁこれは。
奈々加があたしにあんな手紙を送ってくるぐらいの根性だとしても、集団からの攻撃ならさすがにどうにもならないでしょ。
『そのまま観察よろしく』
さぁてこれからもっと楽しくなるよ、奈々加チャン。