あたしをア・イ・シ・テ



『彼方くん彼方くん!』


あたしは家に帰ってさっそく行動に出た。

彼方くんにLINEを送り、待つこと数分。


ピロリン、と音が鳴りメッセージを確認すると、

『なにー?』

とゆるっと返事が来た。


彼方くんは1年の時クラスで話す仲だったし、彼なら協力してくれるだろうと思って。

唯翔が浮気してることは言わないでおいて、上手く嘘で誤魔化して彼方くんの近くにいられればいい。

それだけで唯翔の気を引けるか不安だけど。


なにを建前に彼方くんといようか…。


そういえば、今朝担任が『修学旅行の委員を決める』とか言ってたなぁ。

それにしよう。


『修学旅行の実行委員会、一緒にやらない?』


これなら、いいでしょ。

他人から見て、一緒にいる理由がこれなら誰も怪しまないし、あたしが浮気しているとも思われないだろう。

丁度良いときに修学旅行があってよかった。



『なんでオレ?』

『男手がいるかもと思って、知ってる人に声かけてるの!』

『ふーん?誰もやる人いないだろうしやろうかな』


『やった!ありがと!』


ふふ、ちょろいなぁ彼方くん。

そんなに簡単に今のあたしを信じちゃいけないよ。

嘘なんて平気でつくから。


さーて、委員会は各クラス二人組だし、有莉沙を誘えばいっか。


今日はもう寝よう。

< 81 / 179 >

この作品をシェア

pagetop