あたしをア・イ・シ・テ
『彼方くん彼方くん!』
あたしは家に帰ってさっそく行動に出た。
彼方くんにLINEを送り、待つこと数分。
ピロリン、と音が鳴りメッセージを確認すると、
『なにー?』
とゆるっと返事が来た。
彼方くんは1年の時クラスで話す仲だったし、彼なら協力してくれるだろうと思って。
唯翔が浮気してることは言わないでおいて、上手く嘘で誤魔化して彼方くんの近くにいられればいい。
それだけで唯翔の気を引けるか不安だけど。
なにを建前に彼方くんといようか…。
そういえば、今朝担任が『修学旅行の委員を決める』とか言ってたなぁ。
それにしよう。
『修学旅行の実行委員会、一緒にやらない?』
これなら、いいでしょ。
他人から見て、一緒にいる理由がこれなら誰も怪しまないし、あたしが浮気しているとも思われないだろう。
丁度良いときに修学旅行があってよかった。
『なんでオレ?』
『男手がいるかもと思って、知ってる人に声かけてるの!』
『ふーん?誰もやる人いないだろうしやろうかな』
『やった!ありがと!』
ふふ、ちょろいなぁ彼方くん。
そんなに簡単に今のあたしを信じちゃいけないよ。
嘘なんて平気でつくから。
さーて、委員会は各クラス二人組だし、有莉沙を誘えばいっか。
今日はもう寝よう。