あたしをア・イ・シ・テ
3人で下駄箱で履き替えて、校門まで歩いているとタイミングよくサッカー部の集団も歩いてくるのが見えた。
唯翔は…、あ、いたいた。
よし、今だ。
「あ、わっ!」
あたしはつまずいた振りをして、彼方くんの背中に寄りかかった。
あ、意外と広い背中。
「芽衣大丈夫!?私みたいじゃんなんにもないのに転けるなんて!」
「いや、石あったの!ごめんね、彼方くん押しちゃって」
あたしは彼方くんの背中から離れて、隣に並んだ。
「大丈夫、芽衣ちゃん軽いしね」
ふは、とユルく笑う彼の笑顔を見ながら、横目に唯翔たちの様子を見る。
あー、めっちゃ見られてるね。
これはバッチリかも。
「早く帰ろう、もうお腹すいた!」
「芽衣、今度の委員会の帰りはご飯食べて帰ろうよ~!」
「あ、いいね。彼方くんもどう?」
「オレは早く帰って寝たい」
「自由人だな~」
あたしは、唯翔の存在なんて気づいてませんって振りをしてそのまま歩いていった。
今頃あの集団では、あたしの浮気の噂でもたってるかな?
目には目を、歯には歯を、だよ唯翔。
あたしは二人と話しながら心の中でニヤリとした。