あたしをア・イ・シ・テ
『なぁ、なんでお前、彼方と帰ってんの?』
家に帰ってから、スマホを開いてみるとこんなメッセージが表示された。
なんでって言われてもねぇ?
ふふ、っと笑って文字を打ち込む。
『ダメ?有莉沙もいたよ』
そう返信すると、間髪入れずに返事ではなく電話がかかってきた。
もちろん相手は唯翔。
「もしもし?」
『帰りのアレ、なんだよ』
うわ、すんごい低い声。
初めて聞いたかもしれない。
これは本気で怒ってる?
いやでも、自分は浮気なんてしてるのによく怒れるね…。
少しだけ唯翔にイラついた。
「別に?一緒に帰っただけじゃん」
『なんか抱きついてたりさ。しかも彼方、部活休んでんのに。なにしてたわけ?』
「あたし修学旅行の委員会あるって言ったじゃん。彼方くんもそうだったよ」
『…あっそ』
ブチッと通話を切られ、スマホからはツーツーツー、という音しか聞こえない。
「なんなの…」
自分のほうが先に後輩と浮気してるのに、なんであたしにそんなにキレるわけ…?
あたしは唯翔の態度に、怒りを覚えた。
もう、徹底的にやらなきゃ…。
スマホをベッドに放り投げ、気分転換のためにお風呂に向かった。