あたしをア・イ・シ・テ



「明日はやっと土曜日だ~!」

んーっ、と有莉沙が伸びをしながら言う。


ちなみに今は委員会活動中で、あたしたちはクラスでやるオリエンテーションの紹介プリントを作っていた。


パソコンで作っているから、画面の見すぎで頭が痛くなってきた。


「有莉沙は明日はなんか予定あるの?」

「なーんにもないよ。もしかして私と遊びたいのっ?」


ニヤニヤとしながらそう言う有莉沙に表情でそんなわけない、と伝える。


「それにあたし、明日は予定あるし」


「なーんだ。じゃあ私は韓流のDVDでも借りてこようかなぁ」

「韓流もいいけど、彼方くんはどうよ?」

「えー、ゆるふわっとしすぎかも」


ゆるふわってなにさ。

あたしは笑いながら、ちょっとわかるかもと思っていたけど。

あの茶色い癖っ毛とか、笑いかたとかね。


どうせなら彼方と有莉沙がくっつけばいいかなとか思ってたんだけどな。



あたしたちがこんなに騒いでいられるのは、誰もいないおかげ。

彼方とは今日は帰る約束はしてない。


毎日一緒にいなくてもいいし、というかもう唯翔からは怒る以外の反応が返ってこない。

なにかを言ってくるわけでもないし。


この作戦は失敗だったかもなぁ。

案外つまらなかった。


< 87 / 179 >

この作品をシェア

pagetop