あたしをア・イ・シ・テ
「じゃ、まどか、行くよ。成功させるから」
「こっちも任してください!」
まどかのグッ、と立てた親指を見てからあたしは歩き出した。
あたしは今日のためにお母さんに借りたヒールの高めの靴でカツカツと音を鳴らしながら二人の前を歩く。
特に意味はないけど、なんとなく音が鳴ったほうが印象がね。
あたしはタイミングを見計らい、ポケットからなるべく自然にハンカチを落とす。
「…あ、あの、ちょっと!」
唯翔の声がするけど、あたしは知らぬ振りをして、まだ歩く。
「そこの白いハイヒールの人!」
もうちょっと呼び方ってものがあるでしょ。
そう思いながら白いハイヒールのあたしは振り返る。
「これ、落としま…し、た、あ、、め、芽衣?」
あたしと視線があった瞬間、一瞬にして青ざめる唯翔。
あたしに差し出すハンカチを持った手は微かに震え始める。
そこに、後ろから少し遅れてきた奈々加が来た。
「唯翔先輩っ、どうし…っ、あ…」