付き合ってる相手が、アイドルでした。
「六花、てめぇは、千穂に触んな、近づくな、話をするな、視界に入れるな。」
「えー、昴君、焼餅?焼餅?僕の子猫ちゃんだったからって?」
「うぜぇ、だったら何だってんだよ、気に入らねぇ。」
「ふーん、千穂ちゃんもさ、こんなガキっぽい、しかも盲腸になっちゃうような奴辞めて、僕と付き合ってみる?昴君じゃ、連れて行ってあげれないようなとこ、連れて行ってあげるよ?」
「だぁまぁれぇ。」
見る見る顔を赤くして怒り出す昴に、周りのメンバーも笑いを抑えるのに必死だ。
遊ばれていることに、昴だけが気づいていない。
でも、そういう一直線で、周りが見えなくて、子供っぽいところが可愛くて、私には愛おしかった。
この一件。
私が、六花さんの大ファンだと言うことを隠していたバツに、昴を私の部屋に招くことになったのだ。
まぁ、ばれた以上仕方がないが、私の部屋は六花さんが何人もいる。
ポスターにカレンダーにブロマイドに、ペタペタと壁に色々と張り付けてある。
それを見た昴は、盛大に機嫌を悪くした。
「千穂、お前、俺を部屋に入れなかった理由はこれか、そんなに六花が好きなのか!?」
「うん、ファンだもん。でも、一番は、昴だよ。アイドルじゃない、今、ここに居る昴が一番、好きだよ。」
私がそう言うと、昴はすぐに上機嫌になった。
頬を緩ませて、照れているのを隠すのにそっぽを向いて見せる。
やっぱり、私はそんな昴が可愛くて、愛しくて、仕方なかった。
でも、次に私の部屋に押しかけて来た昴は、部屋中の六花さんを剥ぎ取り、自分のポスターを張り付けいるという、アイドルらしからぬことをしてくれたのだった。