キセキ ーEverlasting love
溢れ出す涙を拭うこともせず、じっと下を向いていた。
するとすぐに、
フワッ
とお母さんのいい香りがして……
暖かい感触に包まれた。
「詩音……詩音……………!!!」
私を抱きしめたまま、名前を何度も呼ぶお母さん。
次第に右肩のあたりが湿ってきて、泣いているんだってことがわかった。
「辛い…ね……、すごく.…辛…い、ね………」
うん、
辛いよ。
言葉にならない声で、そう訴える。
「詩音………っ、」
静かな病室に、
私と
お母さんの
泣き声と、嗚咽が
響いて
響いて
窓の外では、
ゆっくり
ゆっくり
太陽が
沈んでく……