鬼姫伝説Ⅲ
海に向けての道は、平坦なものではなかった。
後二日以内にそこにつかなければならないのだから。
休んでいる時間などなかった。
「海に出ればすぐにわかるのかな?」
「その血を示せば道は開かれる。そう伝わってるけど、どういう意味だろうね」
私たちの前をある手いたる鬼さんがそう答えてくれた。
血を示す。
それは、誰の血でもいいんだろうか。
「由羅、平気か?」
「うん」
私の隣を歩く快斗が気遣ってくれる。
なんだか、こっちに来てから快斗が逞しく見える。
子どもっぽく思っていた快斗が、私の事を護るって言ってくれて。
本当に、護ってくれてる。
「快斗、ありがとう」
「なにが?」
「快斗と一緒で、よかった」
一人じゃなくて、快斗と一緒でよかった。