鬼姫伝説Ⅲ
「たぶん、夕方くらいにはつくはずだよ」
「そうなんですね」
琉鬼さんが振り返りながら教えてくれた。
もう少しでつくんだ。
一年に一度しか現れない秘島。
それは、本当にあるんだろうか。
「そこで、他の鬼たちとも合流することになってる」
「他の鬼たちとは、和解できそうなんですか?」
「もともと鬼の争いって、住処を追われて起きる争いでね。敵対してるとか、そういう事じゃないんだ。生きるため必要に迫られてって感じで。だから、問題はないよ」
「そっか・・・」
争うことなく、鬼たちは手を取り合ってそこで生きていけるんだね。
人間のせいで生きにくくなってきたこの地を離れて。
自分たちの生きる地を求めて。
「きっと、素敵な島になりますね!」
「そうだね」
争うことなく生きられるのなら。
それはなんて素敵なことだろう。