鬼姫伝説Ⅲ
それは、とても綺麗な着物をまとった髪の長い女の人。
頭には、角が生えていて鬼だということがわかる。
「鬼・・・」
「わらわは、この島を護る護り鬼鬼沙良。久方ぶりに扉が開いたのでやってきたのじゃ」
そう名乗り、大きな扇子で口元を隠している。
綺麗な人。
「そなたらは、かつてこの地で生まれた。しかし、さらなる大国を求め、人間の地へ出て行った者たちの末裔。それがまた、戻ってくると申すか?」
「・・・そうだったのか。この地は、済みにくくなってしまった。勝手なことと承知の上だが、我が仲間の鬼たちを受け入れてはもらえんか?」
鬼羅さんが、毅然とした態度でそう告げた。
鬼たちは、あの島で生まれたんだ。
でも、出て行ってしまった・・・。
外の世界に憧れたんだろうか。
「戻るとなれば、もうこの大地へは戻ってくることはできぬぞ?」
「覚悟の上です。それでよいと、総意の上で来ているのです」
「そうか。我が地の同胞たちを、拒んだりはせぬ。皆、受け入れようぞ」
鬼沙良さんはそう言って笑うとその道をあけた。
ここに集まってきた鬼たちが中へと進んでいった。