鬼姫伝説Ⅲ



よかった。
受け入れてもらえたんだ。



「あの、人間になれる宝があると聞きました」

「人間・・・?そのようなもの、なにに入り様だ?」

「・・・あるんですね!?」




鬼沙良さんの言い方は、あるってことだよね。
じゃあ、鬼羅さんは人間に戻れる?




「この娘は、俺と人間の娘の間にできた子です。そのため、この身体の中には鬼の血が流れているのです。それは、人間の地では生きにくい。できれば、人間の地に戻してやりたいのです」

「・・・え?」




鬼羅さんが、そう答えた。
私・・・?

違う、私は・・・。




「そうか。人間の地が混じっておるなら、この島に受け入れることはできぬ。人間の地で生きるにしても、そうさな。生きにくいであろう。そなたは宝と言ったが、それは違う。薬のようなものなのだ」




そう言って鬼沙良さんは扇子を持った手を差し出す。
私は戸惑いながら手を出すと、扇子をその上でひらひらと舞わせる。
するとそこに綺麗な金平糖のような粒が掌に落ちた。





< 109 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop