鬼姫伝説Ⅲ
「これを飲めば、鬼の血は薄れ人間となる。しかし、もうその力を取り戻すことはできぬよ。命は人間のように短く、身体も人間のようにか弱く。それでも良いのなら飲まれよ」
「二つ・・・」
「そなたが人にしたいのは、他におるのだろう?」
「・・・はい!」
私は顔をあげてはっきりとそう答えた。
扇子をどかした鬼沙良さんの顔はとても美しく、綺麗な笑顔を浮かべてくれた。
「本当は、簡単に渡してはいかんのだ。だが、そなたらは自分のことではなく、相手の事を想っておる。その想いに胸打たれた、そういう事にしておけ」
「ありがとうございます」
私は鬼羅さんに向き合う。
鬼羅さんは、人間になるつもりはないのかもしれない。
それに、鬼羅さんだってこの島に行くんだよね。
「鬼羅さん・・・」
「そなたはどうする?もう、時期にこの道は塞がれる」
「え・・・」
「俺は、鬼の長として、導くためについてきただけ。俺はそこにはいけん。この地でやることがあるからな」
「そうか。残念であるが、そなたの思う道をいかれよ」
この地でやることって・・・。