鬼姫伝説Ⅲ
「その上で、お前に頼みがある」
「え・・・?」
いつの間にか泣いていた私の涙を鬼羅さんが手で拭ってくれる。
優しい瞳が私に注がれる。
「お前たちが、未来に戻ったら。この祠を見つけ出し、俺の封印を解いてほしい。そして、その時に俺にその薬を飲ませてくれるか?」
「え・・・?」
「お前たちが生きている時がどれほど先の未来かは知らんが、その先の未来が来る時まで。千代と共にいたいのだ。俺の、我儘を聞いてくれるか?」
鬼羅さんは、お母さんと会うことを諦めたわけじゃないんだ。
お母さんが好きで、会いたくて。
でも、初めて会いを教えてくれた千代さんへの思いも大切にしたくて。
見捨てることなんてできなくて。
それでも、その先に、お母さんとの未来を夢見て。
「・・・絶対、絶対、生き残って。この祠を、千代さんを守り抜いて!そして、鬼羅さんも死なないでねっ」
「ああ。約束しよう」
未来で待ってる。
鬼羅さんを、きっと助けるから。
その封印から、必ず救って見せるから。