鬼姫伝説Ⅲ
「ああ、目が覚めて一番に見る顔が、千菜とは・・・幸せだな」
「き、鬼羅・・・?鬼羅なの・・・?」
「なんだ、俺の顔を忘れたのか?」
大粒の涙を流すお母さんが、確かめるように鬼羅さんに触れる。
鬼羅さんの優しい瞳がお母さんに注がれ、その大きな手がお母さんの頭を撫でる。
「鬼羅っ!鬼羅!」
「ああ」
「鬼羅のバカっ!ずっと一緒って言ったのに!私を一人でいかせて!ずっと、ずっと待ってたのよ!」
「すまない。お前を、護りたかったのだ」
「バカ・・・っ」
お母さんが鬼羅さんに強く抱きつく。
鬼羅さんもお母さんを受け止め、強く抱きしめた。
もう、お母さんの制服を持って泣かなくてもいいね。
私と快斗はそっと二人から離れた。
2人きりに、してあげたい。
離れていた時を埋めるため。
2人はこれから愛を語り合うんだろう。