鬼姫伝説Ⅲ
そして。
家に鬼羅さんと一緒に戻ってきたお母さんはとても幸せそうで。
人間になれる薬があるのだというと、角がなくなるのは少し寂しい、なんて言いながら嬉しそうに笑った。
同じ時を刻んでいける。
その幸せには何物も変えられないのだと思う。
私と鬼羅さんは一緒にその薬を飲んだ。
鬼羅さんは角がなくなり、鋭い爪も人間の物のように変わった。
髪の色だけは白髪のまま。
私は、一束だけ白髪だったその髪はすっかり他の髪と同じ色になった。
身体の中から鬼の血は消えても、鬼羅さんの血が消えたわけじゃない。
「・・・お父さん」
「なんだ」
まだ少し、恥ずかしいけど。
鬼羅さんが私のお父さんとしてここで一緒に暮らしていくんだ。
なんだか、嬉しい。
「鬼羅。由羅。二人とも、大好きよ」
「・・・私も。大好き!」
愛を伝えられる。
その幸せを、これからも噛みしめていく。
END