鬼姫伝説Ⅲ
勢いよく玄関を開け、家に入る。
その音に気付いたお母さんが奥から出てきた。
「由羅?どうしたの?まだ花火打ちあがってもないんじゃない?」
「なんで教えてくれなかったの!」
お母さんに掴みかかるようにしてすがった。
お母さんは驚いて目を見開き、私の肩を支える。
「お母さんが、結婚せずに私を生んだって!相手が、父親が誰かもわからないって!」
「・・・誰が、そんなこと」
「噂になってたって!なんで教えてくれなかったの!?結婚してたんじゃないの?お父さんとは離婚したんじゃないの?お父さんは、どこにいるの!」
頭がごちゃごちゃだ。
わからないことばかりで。
「由羅・・・。ごめんなさい。いつかはちゃんと話さなきゃって思ってたの。でも、ちゃんと受け入れてもらえるかわからなくて・・・」
「そんな、そんなひどいことをしたの?受け入れられるかわからないような話なの!?」
信じられない、なにもかも。
お母さんの言葉も、もう何も信じられないよ。