鬼姫伝説Ⅲ
「ゆ、由羅!あのでかい箱はなんだ!」
神社を出てすぐ鬼羅さんが騒いだのは、車。
テレビでは見ていたはずだけど、実物の大きさに驚きを隠せない様子。
「あれは、車。前話たでしょ?んー、昔でいう馬みたいなものよ」
「あれは、生きてるのか」
「生きてないけど・・・。人を乗せて走るのよ。バスに乗るから後で乗れるよ」
「あれに乗るのか・・・?」
顔が引きつってる!
なんか、なんか、楽しい!
「あれはなんだ」
「あれは信号。青になったらわたってもいいのよ」
「あれは」
「あれは、自転車。乗って移動ができるの」
鬼羅さんは物珍しそうにあれこれと尋ねてくる。
私は丁寧に一つずつ教えてあげる。
なんだか、楽しいな。
こうやってお父さんと買い物。
夢にまで見た時間だ。