鬼姫伝説Ⅲ
目覚めた先は
神社の拝殿に蹲り顔を伏せ泣いた。
「由羅」
追いかけてきた快斗が、気まずそうに声をかける。
私は顔をあげずただ泣いた。
「千菜さん、泣いてた」
知ってるよ。
だから逃げてきたんだもん。
お母さんを傷付けた。
でも、言わずにいられなかった。
「由羅の思いもわかる。わからないことばかりで、混乱してるんだろ?でも、千菜さんがそんなことするように思えるか?」
「わかんないじゃん!本当の事なんか!だって、お母さんは何も教えてくれない!ただ、人を愛せとか、愛されるのが幸せだとか・・・そんな事ばっか」
お母さんは、幸せなの?
お母さんを愛してくれる人は、どこにいるの。
お母さんは、どうしてそう思うの?
「千菜さんに謝ろう。それから、ちゃんと話を聞こう」
「・・・いや。謝りたくない」
頑なな私に、快斗が近寄り肩に手を乗せる。