鬼姫伝説Ⅲ
「由羅!」
学校に向かう途中、呼び止められた私は振り向く。
私に向かって走ってくるのは、幼馴染の結城快斗。
「快斗、おはー」
「よ」
快斗とは生まれた時から一緒。
生まれた病院が一緒で。
たまたま近所に住んでいたお母さん同士が仲良くなって、必然的に私と快斗も一緒にいるようになった。
小学生の頃はチビで泣き虫だった快斗も、中学に上がってめきめきと身長が伸び男の子って感じになってきた。
ま、中身は快斗だけどね。
「夏休み、どうする?」
「んー?家の手伝いしなきゃ」
「そっか。神社の手伝いすんの?俺も手伝おうかなー」
「なんでよ」
「え、暇だし。いいだろ?」
「いいけど」
私の家は神社だ。
戦国時代からあるらしいその神社の名は“鬼姫神社”。
鬼だなんて、不気味だよね。