鬼姫伝説Ⅲ
「あの、皆さんここに住んでるんですか?」
「そうだよ。ここが俺たちの住処。すっかり、鬼の数も少なくなっちゃったしね」
「え・・・」
少しだけ寂しそうな表情を浮かべた琉鬼さんはそう言って見渡した。
昔はもっと多かったんだろうか。
「鬼がいるのはここだけじゃないんだけどね。俺たちの集落はこれだけになっちゃったんだ」
「なにか・・・あったんですか?」
「・・・うん。10年前に、少し大きな戦があってね」
琉鬼さんが、そうとだけ答えてくれた。
戦・・・。
戦国時代、なんだもんね。
あって当たり前の世界なんだ。
そう考えると。少し怖い。
平和なことが当たり前で。
戦も戦争もない場所で生まれたから。
なんだか、想像つかないよ。
「その戦、負けたんですか・・・?」
「そうだね。俺たちの、お頭的な人が全てを治めてくれたんだ」
琉鬼さんの瞳が切なげに揺れた。
治めてくれた、それはいったいどういう事だろう。