鬼姫伝説Ⅲ
「なんで、こんなところに来ちゃったのかな?」
「なんでだろうな」
「ねぇ、琉鬼さんたちに話したの?私たちが未来から来たって」
「いや。話しても信じてもらえないだろうし」
「そうだよね・・・」
私だって信じられないもん。
どうやったら帰れるんだろう。
「俺たち、ここに倒れてたらしい」
「え?」
快斗に言われ見ると、そこには小さな祠があった。
そう言えば、神社はないけど祠はあるって言ってたっけ。
少し古びたその祠は、それでも手入れがされているみたいだった。
「ここには、お姫様が眠ってるんだって」
「お姫さま?」
「そう。鬼と恋に落ちたお姫様。まるで、由羅の神社みたいじゃね?」
鬼と恋に落ちたお姫様・・・。
人間と鬼の、種族を超えた恋か。
「なんか、素敵ね」
私は前にしゃがみ込んで手を合わせた。