鬼姫伝説Ⅲ



「この先」



少し先に城が見える。
そのはずれの方に、ぽつんと岩でできた牢があった。


近づいていくと、中に人影が見える。





「鬼羅、来たよ」




琉鬼さんが呼びかける。
鬼羅さんというらしい。


呼ばれるまで、少し離れた場所に待機する。
そこから見えたのは、少しやつれたような、傷だらけの身体の男の人。

白髪で、頭に二本の角があるその人は、おじいさんだと思っていたけど琉鬼さんと同じくらいの歳みたい。





「・・・別に、来なくていいと言ってるだろ」

「つれないこと言うなよ。今日はお客さんを連れてきたんだ」





そう言って琉鬼さんが振り向く。
私と快斗は顔を見合わせおずおずと近づいた。


その時、気怠そうに岩にもたれていた鬼羅さんが身体を起こし身を乗り出して私の方を見た。



目を見開き、まじまじと私を見つめた後、少し寂しげな表情をしてすぐに目をそらした。




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