鬼姫伝説Ⅲ
「誰と、間違えたの?」
「・・・うるさい」
意味深な言葉を琉鬼さんが投げかけるが、鬼羅さんは不機嫌そうに眉を顰めた。
「最近、迷い込んだ人間の子。由羅ちゃんと快斗だよ」
「こんにちは」
「どうも」
琉鬼さんに紹介され、頭を下げる。
鬼羅さんは、それ以降私たちを見てくれることはなかった。
近くで見れば、よくわかる。
それほどまでに痛めつけられたような傷の残る身体。
ボロボロの着物はところどころ破れていて。
「あの・・・どうして助けを求めないんですか?」
思わず聞いていた。
だって、悲しい。
こんなところに一人でなんて。
「こんなところに、一人でいて寂しくないんですか?」
「・・・俺は、一人ではない」
「え・・・?」
「心の中にね、愛する人がいるんだってさ」
「琉鬼、余計なことを言うな」
機嫌悪そうに話す鬼羅さん。
でも・・・、それでいいの?