鬼姫伝説Ⅲ
「鬼羅。時光、病に臥せってるらしいよ。だから、逃げ出すなら今。どうする?」
「・・・・・・」
こんなに、強く願うのはなぜだろう。
この人を助けたい。
無性に、胸を焦らせる。
この想いはなんだろう。
「・・・頼む」
鬼羅さんが、短くそう答えた。
琉鬼さんはにっこり笑って「任せて」と呟いた。
離れていてと言われた私と快斗は遠く離れた場所に隠れ、琉鬼さんたちを待った。
少しすると琉鬼さんと鬼羅さんが走ってくるのが見えた。
「まずい、家臣に見つかった!走って!」
「え!?」
「いくぞ、由羅!」
快斗が私の手を引いて走り出す。
私も慌てて走った。
鬼羅さんの真っ白な短い髪が風に靡いて、綺麗だと思った。