鬼姫伝説Ⅲ



「鬼羅さん」



料理の準備ができた頃には、鬼羅さんはどっかにいっていて。
私は鬼羅さんの分の料理を持って鬼羅さんのもとに来ていた。




「なんだ」

「はい。鬼羅さんの分」

「・・・お前の匂いは気に入らん」

「え?またその話?」



匂いって。
そう言えば、琉鬼さんも言ってたな。



「なんなの、琉鬼さんもなんか懐かしい匂いだって言ってたし」

「お前、兄妹でもいるのか」

「兄弟?いないけど」

「・・・そうか」

「私そんな臭い?」



くんくんと自分の身体を匂ってみる。
自分の匂いってわかんないのよね。
ていうか、女の子を捕まえて匂うとか失礼すぎるでしょ。




「違う」

「え?」

「・・・抱きしめたくなるのだ」





・・・・え?
ボッていう音がするくらい一気に顔が熱くなる。
な、な、なに言いだすの、この人は!





< 40 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop