鬼姫伝説Ⅲ



「きっと、喜んでますね。お姫様。空で、見てるのかな?」

「・・・あいつは、ずっとずっと先にいる」

「え?」

「いつか、会えるだろうか」




懐かしむように空を見上げた鬼羅さん。
私も同じように空を見上げる。

ずっとずっと先。



空の上の方ってことかしら。



天国。
本当にあるのなら、そうなのかもしれないね。




「・・・お前、あっちに行け」

「はい?」

「お前といると調子が狂う。変なことを口走ってしまう」

「いいじゃないですか。吐き出しちゃいましょうよ!」

「うるさい。ほら、行け」



乱暴に肩を押される。
これ以上はいれない雰囲気に、仕方なく立ちあがる。


どんな人だったんだろう、お姫様。
こんなに口が悪くて乱暴な人が、一途に思う人って。




少しだけ、羨ましく思った。





< 42 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop