鬼姫伝説Ⅲ
「きっと、喜んでますね。お姫様。空で、見てるのかな?」
「・・・あいつは、ずっとずっと先にいる」
「え?」
「いつか、会えるだろうか」
懐かしむように空を見上げた鬼羅さん。
私も同じように空を見上げる。
ずっとずっと先。
空の上の方ってことかしら。
天国。
本当にあるのなら、そうなのかもしれないね。
「・・・お前、あっちに行け」
「はい?」
「お前といると調子が狂う。変なことを口走ってしまう」
「いいじゃないですか。吐き出しちゃいましょうよ!」
「うるさい。ほら、行け」
乱暴に肩を押される。
これ以上はいれない雰囲気に、仕方なく立ちあがる。
どんな人だったんだろう、お姫様。
こんなに口が悪くて乱暴な人が、一途に思う人って。
少しだけ、羨ましく思った。