鬼姫伝説Ⅲ
「ちよのにおいだ!」
なにか小さいものが突撃してくる。
驚きながら見ると、手のひらサイズの小さな子鬼だ。
「うわ!可愛い!」
「あ、天!お前、ずっとどこ行ってたんだよ」
私の隣にいた琉鬼さんがその子鬼を見てそう言った。
天っていう名前なんだ。
わ、トラのパンツ穿いてる!
「ちよー」
「違うよ、ちぃちゃんじゃないよ。由羅ちゃん」
「え?なに!ちよじゃないのか!」
「まったく・・・。ちぃちゃんは20年も前に死んじゃったでしょ」
「そうか・・・」
シュンと落ち込む天。
わ、そんな顔しないで・・・。
「千代さんって、そのお姫様の名前?」
「しってるのか!?」
「え、あ、ううん。話を聞いただけだよ」
やっぱりそうなんだ。
鬼羅さんの愛した人。