鬼姫伝説Ⅲ
「なんでお前がそんな泣いてんだよ」
帰りながらポロポロなく私を呆れたような声が降ってくる。
だって、止まらない。
鬼羅さんの思いが、切なくて。
「鬼羅さん・・・、いつもは口が悪くて、意地悪で・・・。それなのに、一人でああやって泣くなんて・・・」
「男はな、人に涙なんか見せねぇの。ああやって、一人で泣くもんなんだよ」
「なにそれ、知らないよ」
永遠の愛ってあるのかな。
鬼羅さんが、ずっと忘れなければ。
それは永遠の愛になるのかな。
「でも、悲しい。一人で背負い込むのは、やっぱり悲しいよ」
「由羅・・・」
「だって、お母さんも・・・、お母さんも。よく一人で泣いてた・・・。その時も、こうやって私は気づかれないように離れて・・・」
そうするしかなかった。
きっとお母さんだって、私に気づかれたくなかっただろうし。
だからこそ、夜中にこっそり泣いてたんだ。
それがわかるから、声をかけられなかった。
次の日、なにもなかったように笑うお母さんを見て胸を痛めた。
お母さんも同じだったのかな。
誰かを想って、涙してたのかな。