鬼姫伝説Ⅲ
一人でこっそり泣いてしまうほど好きな人。
そんな気持ちをまだ知らない私は、知りたいと思う。
「食べますか?」
「・・・ああ」
私に対しては、こんなにも無愛想なこの人が、その人の前ではどうなるのだろう。
少しだけ、気になった。
「鬼羅さんって、・・・・」
じっと顔を見つめた。
目が少しだけ赤い。
顔を洗ったのか、少しだけ髪がぬれていた。
「なんだ」
「よく見たら、かっこいい顔してますよね」
「は、おい、由羅!なに言ってんだよ!」
いつの間に聞いていたのか快斗が怒鳴ってくる。
もう、なによ。
「だって、ほら快斗だって見てよ!鬼羅さん、むすっと顔しかめてなかったらかっこいいと思わない?」
「思ったとしても、ぜって―認めないからな!」
「意味わかんないし」
なに怒ってんのよ。