鬼姫伝説Ⅲ



「へぇ。じゃあ、鬼羅は男だから、お父さんってとこかな」

「お父さん?ええー、鬼羅さんがですか?」




琉鬼さんが言った冗談に、ちらりと鬼羅さんを眺めてみる。
鬼羅さんがお父さんか・・・。




「んー、いやではないかもしれないですね」

「お、だってさ、鬼羅」

「アホなこと言ってないでさっさと食え」




鬼羅さんはその冗談には乗ってくれるはずもなく。
私と琉鬼さんと快斗だけがケラケラと笑った。





「お父さんかー」

「ん?どうしたの?」

「お父さんがいたら、どんな感じなのかなって。私、お父さんいないんです」

「そうなの?死んじゃったとか?戦とかいったりするもんね」

「いえ。そうじゃなくて・・・。もともと、知らないんです。どんな人なのか。なにも教えてもらってなくて」




なんでこんな話をしてるんだろう。
でも、この人たちなら聞いてくれる気がして。




< 55 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop