鬼姫伝説Ⅲ
「そっか。いろいろ事情があるだろうしね」
「はい。そのことで、お母さんと喧嘩しちゃって」
「え、そうなの?もしかして、それで家出してきたとか?」
琉鬼さんが驚いたように声を上げた。
家出・・・か。
でも、そういう事になるのかもしれないな。
家を飛び出してきちゃったんだから。
「でも、それっきりなんで、家出ってことになってると思います」
「ちゃんと帰って謝るんだよ?」
「・・・はい。謝れたらいいんですけど」
どうやったら帰れるんだろう。
どうして私はここに来たんだろう。
「帰り方が、わかんなくて」
「え?」
「遠いところから来たから、いつ帰れるかわかんなくて」
そう言って笑った。
お母さんと喧嘩なんかしなければよかった。
あんなこと、言わなければよかった。