鬼姫伝説Ⅲ



「そんなはずは・・・、そんなはずはないんだ・・・」



鬼羅さんが、独り言のようにそう呟く。
どういう事・・・?



「鬼羅、どういうこと?話して」

「・・・そのくしは。俺が・・・、俺が千菜に与えたものだ。俺の代わりにと思って。その花は・・・、俺が描いた」

「え・・・?」



千菜?
千菜って?
千代さんじゃなくて?
お姫様の名前って、千代さんでしょう?



「あの、千代さん、ですよね?」

「ああ。ちぃちゃんじゃなくて、その後に千菜ちゃんって子にも出会ってるんだ。千ぃちゃんを亡くした鬼羅を救ってくれたのが千菜ちゃんなんだよ」



戸惑う私に、琉鬼さんが教えてくれる。
そうだったんだ・・・。


でも、どっちにしても、それはありえないよ。




「ありえないです。どっちにしたって、それは絶対にありえない」




だって、私は時を超えてきたの。
来るはずのない場所に、来ているのだから。




「だって、私たちずっと遠い未来から来たんです」



< 67 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop