鬼姫伝説Ⅲ



鬼羅さんが戻ってくるまで、私たちは誰も話さなかった。
きっと、私も琉鬼さんも、快斗も戸惑いが隠せなくて。

きっと、理解できてない。


なにが起きてるのか。



鬼羅さんはすぐに戻ってきた。
手には、なにかを持っていた。



「これを、知っているか」




渡されたもの。
これは、鬼羅さんが河原で抱きしめて泣いていたもの?
色が似ていてそう思った。



私はそれを広げる。




「これ・・・」



見覚えがあった。
だってこれは。
だってこれは。





「制服・・・」



ああ、涙が。




「お母さんの、高校の制服・・・」




< 70 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop