鬼姫伝説Ⅲ
鬼羅さんを見上げる。
だって、それじゃあ。
「鬼羅さ・・・が・・・」
私の。
「お父さん・・・?」
鬼羅さんの瞳から一筋の涙が溢れた。
次の瞬間、鬼羅さんの腕の中に抱きしめられていた。
「しらなかった・・・。千菜が、千菜が、身籠っていたなんて・・・。ああ、そうか・・・そうか」
「ふ・・・っ、ううっ・・・おとうさ・・・っお父さん・・・っ」
だってそんな。
会えるなんて思わなかった。
お母さんが愛した人。
涙の中で思っていた人。
私の、お父さん。