鬼姫伝説Ⅲ
「とりあえず、いきなりお父さんなんて呼べないし、今まで通り鬼羅さん、でいいよね」
さっきはつい呼んでたけど。
思い出すと恥ずかしすぎる!
「ちょっと、鬼羅さんのところにいってくる!」
そう言って小屋を飛び出した。
外には鬼羅さんの姿はなくて、少し森に出て探すことに。
「もしかして・・・」
思い立ってあの河原に向かうと、やはりそこで鬼羅さんの姿を見つけた。
河原に座り込んでじっと川の流れを見ている。
なにを考えてるんだろう。
お母さんのこと?
鬼羅さんの手には、今日もまたお母さんの制服が握られていた。
でも、今日は泣いてないんだね。
「鬼羅さん」
意を決して呼びかけると、鬼羅さんは少し肩を揺らしこちらを見た。
私を見る瞳が揺れる。
私は唇を噛んで、鬼羅さんの隣に勢いよく座った。