鬼姫伝説Ⅲ



「口が悪くて、乱暴な所もあるけど、優しくて暖かい人・・・」

「なんだそれは」

「一度だけ、お母さんが話してくれた私のお父さんのこと」




今なら、わかる。
ああ、お母さん鬼羅さんの事だね。

確かに鬼羅さんは口が悪くて乱暴者で。
それでも、優しくて暖かい瞳もできる人。




「鬼羅さん、そのものなんだもん・・・」

「そうか」

「ねぇ、鬼羅さん・・・。教えてほしい。お母さんの事。お母さんと、鬼羅さんのこと」




知りたい。
お母さんが話したくても放せなかったこと。

きっと、私が信じられるかわからなくて怖かっただ。
今ならわかる。
だってこんな事、自分で経験してないと信じたくても信じられないよ。




「・・・千代が俺のせいで死んだというのは聞いただろう」

「あの、祠のお姫さま?」

「ああ。千代をモノにしたかった時光が襲ってきて、俺を庇って千代は死んだ。その時に俺も封印されたんだ」




鬼羅さんが紡ぐ記憶。
私は静かに耳を傾けた。




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