鬼姫伝説Ⅲ




「・・・じゃあ、その千代さんの生まれ変わりがお母さんだったってこと?」

「ああ」

「なんか、すごい・・・」



そんな事ってあるんだ。
タイムスリップを経験してしまったから、なんでもあり得るような気がする。




「封印された俺を助け、その心まで救ってくれた。俺は、そんな千菜に惹かれた。千代を忘れることはできない俺を、それでもいいと受け入れ、愛してくれたのだ」

「・・・・」

「だが・・・。時光が鬼を襲撃した。かなりの軍勢で、俺たちは押されてた。だから・・・、俺は、あいつを元の世界に戻すことを決めたんだ」

「どうして・・・?」

「俺はもう、大切なものを失いたくはなかった。遠く離れた地にいても、生きてさえいれば・・・」




お母さんを護るために。
愛しているから。

だからこそ、お母さんを元の時代に帰した・・・。




「あいつは泣いてすがった。嫌だと、それを、俺が無理やり帰したんだ。だから、責めるなら俺を責めるといいお前を一人にしたのは、俺だ」




鬼羅さんの大きな掌が私を撫でる。
責める・・・?
そんな事、できるわけないのに。

だって。
二人とも、一生懸命に互いを想って。
鬼羅さんはお母さんのために。
お母さんだって、鬼羅さんを想って。



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