鬼姫伝説Ⅲ



「本当はな、時光をこの手で殺してやろうと思っていたのだ。この手を赤く染め上げ、憎しみのまま。そのつもりもあって、千菜を帰した。だが・・・できなかった。刀を握りしめればしめるほど、千菜の顔が頭にチラつき、千菜の温もりが身体を支配して」

「だから・・・、牢屋に?」

「殺すことが出来ぬなら、鬼たちを護ることが俺の役目だ。俺の命で護れるならたやすいことだ」

「・・・・バカ」




鬼羅さんが私の頭を抱き寄せ私を包み込む。





「千菜・・・」





小さく呟く声が、お母さんを呼んでいる。
お母さん。
ごめんね。


永遠の愛。
あるのかもしれないね。




鬼羅さんは、今でもお母さんを愛してるよ。
お母さんに会いたくて、触れたくて、苦しいくらいに。


きっと、お母さんといた時以上にお母さんを想ってるんじゃないのかなぁ。



お母さんも、こっそり泣いていたのは鬼羅さんを想ってだったんだね。
本当はずっと一緒にいたかったのに、できなくて。
忘れられなくて、好きで、苦しくて、涙していたんだね。




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