鬼姫伝説Ⅲ
お母さん。
いつか、いつか、お母さんと鬼羅さんを会わせてあげたい。
叶うのなら、ずっと一緒にいてほしい。
こんなに愛し合っているのに。
離れ離れなんて、悲しいよ。
悲しすぎるよね。
「・・・すまない」
「これ、鬼羅さんが持っていて」
「これは」
「お母さんがずっと持ってたものなの。肌身離さず。だから、きっとお母さんの思いがこもってる。お母さんだと思って持ってたらいいよ」
私はそう言ってあのくしを渡した。
きっと、お母さんもその方が嬉しいよね。
「・・・由羅か」
「え?」
「いい名だな」
「お母さんが、つけてくれたの。・・・お母さんの大切な人の名前をもらったんだって。鬼羅さんのことだったんだね」
「そうか」
「お母さん、本当に鬼羅さんの事大好きなんだから」
妬けちゃうくらい。