鬼姫伝説Ⅲ
「どうする、鬼の大将。この娘の命が惜しければ、取引に応じろ」
私のせいで。
私が・・・、私が、人質になんかなったから。
鬼羅さんが、戦に駆り出されちゃう。
「わか・・・・」
絶対に、そんなことさせない!
私は思いっきり男に体当たりをする。
怯んだ隙に立ち上がり必死で走りだした。
「由羅!」
伸ばされた手を掴み、小屋から飛び出した。
「先に逃げていろ!」
「え!?」
「すぐそこに快斗がいる」
「鬼羅さんは・・・っ!」
「俺はまだここに用がある」
右手で私の額の血を拭うと、鬼羅さんは踵を返してさっきの小屋に戻っていく。
鬼羅さん・・・、私は唇を噛みしめると走り出した。