鬼姫伝説Ⅲ
「おそらく、毒は体の自由を封じるためのもので、しばらくすれば抜けるだろう」
「・・・うん」
「もうしばらく、そうしていろ」
「・・・うん」
よかった。
鬼羅さんも、無事で。
「集落には、もう少し帰れそうにないからな」
「え・・・」
「大丈夫、戦いは終わってる。後始末が終わらないんだ」
後始末・・・。
皆は無事だろうか。
怪我をした人は、いないだろうか。
不安に瞳を揺らすと、鬼羅さんが気づいたように私の頭を撫でた。
「無茶をして。肝が冷えた」
「ふふ・・・ごめんなさい」
きっと、そうできたのは鬼羅さんがいたからだ。
鬼羅さんが、きっと助けてくれるって思ったから。