鬼姫伝説Ⅲ
決断の時
「もう限界だ」
「そうだ。これ以上、ここにいるのは・・・」
集落の鬼たちは、ざわめきあっていた。
度重なる襲撃に追い詰められていく。
「ここを出よう。人間のいない、秘島を探そう!」
集落は荒れ果てていた。
小屋は壊され、木はなぎ倒され。
「秘島・・・?」
「言い伝えがあるんだ。一年に一度海の先に島が現れる。その島は、容易には入れないが入ればそこには楽園が広がるのだという・・・」
「楽園。すごい、そこには、人間はいないんだ・・・」
琉鬼さんが話してくれたその秘島。
もしあるのなら、もうこれで鬼と人間が無意味に争う事もなくなるかもしれない。
「きっとその人間のいない安全な島が見つかれば、鬼たち同士のいざこざもなくなるはずなんだ」
「うん」
「でも、その島が本当にあるのかどうか・・・。言い伝えでしかないのかもしれない」